ヒューズ:設計支援

ご使用条件に適正な角形チップヒューズの選定フローとポイントを示します。

選定フロー

  1. 形状/寸法、定格電圧、最大遮断電流、安全規格の確認
  2. 異常時の溶断電流 :定格電流比200%以上にすること
  3. 定常時の通常電流 :定格電流比の56%以下にすること
    ( 推奨10万時間以上耐性 )
  4. 定常時の突入電流 :突入電流波形から10万回耐性カーブ以上の定格値を選定すること
  5. 実機における溶断特性の確認
  • 角形チップヒューズ選定ツール
  • 使用条件を入力するだけで角形チップヒューズ品番が選定できるツールです。

選定のポイント

形状、定格電圧、最大遮断電流、安全規格等の確認

使用回路条件から定格電流以外のヒューズ仕様を選定します。

    • ・形状
    • :基板の取り付けスペースから形状を選定します。
    • ・定格電圧
    • :ヒューズの両端電圧は定常時では僅かですが、ヒューズが遮断した場合は回路電圧がそのままヒューズに加わります。
      ヒューズ遮断時(オープン)の両端電圧がヒューズの定格電圧以下であることを確認します。
    • ・最大遮断電流
    • :異常時の溶断電流が大き過ぎると遮断が確実にできない場合があります。
      異常時の溶断電流(最大電流)がヒューズの最大遮断電流以下であることを確認します。
    • ・安全規格
    • :安全規格が必要な場合には、その規格を取得しているヒューズを選定します。
      (パナソニックの角形チップヒューズはUL/CSA規格を取得しています)

使用条件の例

    • ・形状
    • : 1005サイズ以下
    • ・回路電圧
    • : 20 V max
    • ・異常時の最大電流
    • : 5 A max
    • ・安全規格
    • :UL規格が必要

ヒューズの仕様

・当社適合品: ERBRDタイプ

商品ラインアップ をご確認ください。

異常時の溶断電流

異常時にヒューズに流れる電流値(実効値)と溶断時間から定格電流値を選定します。
I-t特性のグラフより、任意の溶断時間において異常電流が遮断できる定格電流以下のヒューズを選定します。

使用条件の例

    • ・異常時の実効電流
    • : 2.5A rms
    • ・溶断時間
    • : 5s以内に溶断

ヒューズの仕様

・推奨定格電流値: 1.25A 以下

推奨定格電流値 ( MAX ) =2.5A/200%

pdficon I-t 特性グラフ

ERBRDシリーズ/I-t特性(25°C参考値)

定常時の通電電流

通常動作状態で定常的に流れる電流値 ( 実効値 ) と通電時間(寿命)から定格電流値を選定します。
通電寿命推定のグラフより負荷率を確認し、負荷率を考慮した定格電流のヒューズを選定します。

推奨定格電流値 ( Min ) =定常時通電電流/負荷率

使用条件の例

    • ・定常時の実効電流
    • : 0.5A rms
    • ・通電時間
    • :100,000h

(10万時間以上の耐性見積り 負荷率56%以下)

ヒューズの仕様

・推奨定格電流値 : 1.0A 以上

推奨定格電流値 ( Min ) =0.5A/0.56

pdficon 通電寿命推定グラフ

※負荷率=定常電流/定格電流値

ERBRDシリーズ/通電寿命推定

定常時の突入電流

電源ON/OFF時に流れる突入電流(インラッシュ電流)から定格電流を選定します。
電源ON/OFF時には定常時より大きな突入電流が流れますが、この突入電流では溶断しないようなヒューズを選定する必要があります。
これは電流波形からI2tを計算し、I2t-t特性カーブの10万回耐性カーブより選定します。

突入電流波形の例
突入電流波形の例

使用条件の例

    • ・ピーク電流
    • :Ip=2.8 A
    • ・継続時間
    • :t=1ms
    • ・印加回数
    • :10万回

ヒューズの仕様

・推奨定格電流値 : 1.0A 以上

pdficon I2t-t 特性グラフ

ERBRDシリーズ/I2t-t特性 10万回耐性カーブ ( 25°C,参考値 )

    • I2t = Ip2×t×k
    • = 0.0039 A2s (at 25°C )
    • = 0.0047 A2s (at 70°C)

*70°Cでは20%増で計算します。

通常時突入電流波形

②③④の結果から、上記の使用条件例における推奨定格電流は1.0A~1.25Aとなります。
これに①の情報を加えると、推奨品番は ERBRD1R00X 又は ERBRD1R25X となります。

実機における溶断特性の確認

実際の実機では、基板の熱伝導の違いや想定外のノイズ等により、選定した品番が必ずしも想定通りの溶断特性を示すとは限りません。
従って、ヒューズ選定の最終段階では必ず実際の回路基板にヒューズを実装した状態で回路を動作させ、想定通りの溶断特性が得られることを確認してください。

※チップヒューズの選定にお困りの際は、問い合わせをお願いします

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